堀あいえ 随筆(電子版)日常の風景や映画の話題などを ときどき更新してます

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序文 12:23
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     ここは今よりも少しだけ未来の西暦2020年の世界です。場所は湾岸エリア。
     湾岸エリアといえば、オリンピック村がほど近い地域で、このあたり、少し前までは超高層マンションの建設ラッシュといわれていました。
     ところが今は建設ラッシュはピークを過ぎているそう。
     それでもなお人口増加のグラフは右肩上がりで、道ゆく人々の姿は住民だけでなくビジネスマンと外国人観光客たちでもあふれている。
     まるで絵に描いたような都市です。鏡張りの高層ビル、そこには空の青さと白い雲が映っている。道路は碁盤の目のように通っている。走る車や道ゆく人たちはまるでミニチュアのよう。遠くにモノレールが走って、橋も見えている。古い雑居ビルもあって、そこだけは時代から切り離されたよう。あちこちのビルの裏側から換気扇や蒸気が細く立ち上っている。
    ーーこの風景、まるで誰かが描いた風景画に似ているのであります。
     あ、絵ではなくてコミックのイラスト…そうでした。なんというコミック名だったか…名前が出てきません。アメコミ、そう、あの話も! 主人公が高層マンションに住んでいるんでした。(NYのタワーマンションに住んでいる主人公が出てくる話)。その点でも似てる。
    「チーン」
     マンションのエレベーターがエントランス階で止まりました。エレベーターが止まる音まであのアメコミ風ですね! ……。
     と言ってもこっちは現実の話なので比べたところで仕方のないことなのですが。
     あ、そうそう、話が脇道に逸れてる。元に戻って…と。
     今どき、都心のスタンダードなライフスタイルは、超高層マンション暮らしなんですね。それが当たり前ですとはね! 家のリビングの窓から毎日こうした絵に描いたような街並みにが見渡せるのでしょう。実際、ご近所の歩いてる小学生たちに話を聞いてみました。すると彼らも10人中9人がタワーマンションに暮らしているそう! 都心部ではこうした住宅環境が当たり前になっているのですとはね!
     たしかに、都心に暮らそうという場合、マンションは手頃な値段だしなにかと便利、だから人気なんです。逆に、一軒家で手頃な物件を見つけようっても、物件を見つけること自体が至難の技。建築基準法が改定されたのと、ベビーブームが到来したのとが相まって都心部はファミリー向けのタワーマンションがスタンダードという方程式に拍車がかかったのだそうです。
     おっとそうでしたそうでした。話を元に戻してと…。
     1708号室の奥さんがエレベーターから出てきました。お散歩のようです。1708号室の奥さんはベビーカーを引いて出ていきました。これから登場する人物、そちらがこちらの奥さんです。
     この話は奥さんの身の上に起きた出来事なので、やっぱり奥さんの口から話してもらうのが一番なのかなと思いましたけれども。
     実際のところ、奥さんは、以前に執筆関係の仕事をしていたのは事実で、産休に入って、お子さんも少しずつ大きくなってきましたから、またライターの仕事に戻りたいと考えているところなのは事実。最初に相談を持ちかけた時には、こちらもどんな風に持ちかけたらいいかなと思っていましたが、やっぱり奥さんの身の上を書いてもらおうかと、そんなふうに考えがまとまったのでした。やっぱり当事者でないとわからない感覚とかもありますし、本人特有の言い回しとかもありますから、きっとそのほうがいいのではないかと思ったのです。
     それにしても、奥さんの身の上話は何かと不思議と聞いていて心地いい感じがあります。それでこちらとしても頼むことにしたのでした。ああそうそう前置きはこの辺りにしてと。お話をはじめることにしましょう。



    | 創作『世界で一番好きなママ』 | comments(0) | - | posted by 堀 あいえ -
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